これまで科学技術の世界では、「独創性」が求められてきた。独創性とは他の人とは違う独自の発想によって新しいものを作り出す能力のことである。

しかし、中には他人と同じことをやるのはイヤだから、人の意見に耳を貸さずに自分の考えだけで、物事をやり通そうとする人もいる。これではいかに独創的で素晴らしいアイデアの持ち主だとしても、ほめられたものではない。

本当にすばらしいアイデアならば、むしろ積極的に公表して他の人にも役立ててもらうべきだろう。それが小さな種のようなアイデアならば、自分以外の人々の発想を採り入れることによって、芽を出し、花を咲かせるかもしれない。別の角度から光を当てることでアイデアが思いがけない方向に広がっていくこともあるだろう。

独創的な発想ができる人が何人も集まって意見を交換すれば、そこで発揮される創造性は何倍にも膨らんでいく。このような考え方を「共創」と呼ぶ。

情報化社会では、同調する人々との対話がモノを産み出す原動力となる。分野の異なる人々がお互いにアイデアを提供し、横のコミュニケーションによって連携する「共創」の精神が、科学技術の発展に不可欠である。

技術者が、企業という集団に入って仕事をする最大のメリットは、たくさんの知恵を集めて「共創」が可能になるところにある。

しかし「それなら日本企業は個人プレイよりもチームワークを重視してきたではないか」という意見もあろう。しかし、チームワークを重んじる「和」の精神と、この「共創」の精神は全く異なるものである。それはあくまでも独創性のある人材が協力し合うことを前提とし、「独創」プラス「共創」が全体としての創造性になっていくことである。即ち、価値観の異なる個性的な人間同士がインタラクティブ(双方向的)な対話を交わしたときに初めて、集団としての創造性が高まるのである。

植物が共振によってコミュニケーションしているのと同じように、共創は人間同士が共鳴し合うところから始まる。共創によって何かを作ろうと思ったら、お互いに共鳴する複数の人間が集まり対話を交わすための「場」が必要である。「場」のクオリティが高ければ高いほど、共創のレベルも向上する。

ここで云う「場」とは、単に置かれている「環境」を云うのではなく、質の高い情報を発散する人間がいる空間のことである。

私達は、このような「場」が藤井基礎設計グループであり、ここに「共創」に共鳴し慶びを感ずるものの集まりでありたいと、心から願うものである。