核について


 核物質とは、核原料物質(天然ウラン、劣化ウラン、トリウムおよびこれらを含有する金属、合金、化合物又は精鉱)と特殊核分裂性物質(核分裂性物質:239Pu、233Uまたは235Uで富化された物質、およびこれらを含有する物質)の総称である。

日本でも高度経済成長から核を燃料とした、原子力発電所をはじめとする核施設が建設されてきた。発電所といえば火力、水力、風力、原子力などがあげられるが、現在、私たちが使用している電気の3割は原子力に頼っている。エネルギーを確保するうえで原子力発電所は必要不可欠なものとなっているようだ。


その核だが、エネルギー開発の利用だけではなく、戦争兵器として多く使用されてきたことは知るまでもない。以前著者が中南米滞在時、大学生に日本のイメージについて聞くと「多くの人々が自転車を利用し車があまり普及していない国・・・」との事。数十年前の中国と勘違いしている人があまりにも多く、なかには日本は中国にある都市の一つと思っている人が少なくはない。しかし、核の話題になると、「原子爆弾が投下された都市は広島、長崎・・・」と義務教育で教わるようで、中南米の小学生は誰でも知っている。


アメリカ合衆国は90年代に入り、戦争で多量の核物質である劣化ウラン弾を使用してきた。1991年の湾岸戦争、1995年のボスニア軍事介入、1999年の旧ユーゴ空爆、2001年の対アフガニスタン戦争、2003年のイラク戦争と使用され続けている。劣化ウランとは原子力発電所で使用された核燃料の濃縮過程でできた廃棄物である。つまり劣化ウランは廃棄されたゴミであるため値段も安い(タダ同然)。さらにその廃棄物(劣化ウラン)を安全処理する必要があり、それには多くの費用がかさむ。

そこで、何か利用価値がないかと考えられたのが、劣化ウラン弾である。ウランは鉛と比べてもかなり重く、硬い物質である。ミサイル弾としての破壊力は相当なものであり、さらに安価で製造できることから、現在、陸上戦での戦車砲弾として使用されているミサイル弾である。


日本の自衛隊は劣化ウランの使用はされておらず、タングステンが使用されている。タングステンは重たい物質で破壊力があり、ただウランとの大きな違いは核物質ではないので放射能による人体への悪影響はない。しかしタングステンは非常に原材料費と加工費が高い。そのためアメリカは安価で破壊力のある劣化ウランを使用するに至っている。


ウランは45億年の半減期を持つ放射性物質であるため環境中に放出されると、長期間持続しその影響は極めて広範囲に及ぶ。また、汚染の除去や環境の回復も難しい。さらに人体内に蓄積されることにより影響として、癌・白血病、先天性の奇形・異常、全身にわたる様々な疾病・障害を引き起こす。現地調査報告では、癌・白血病や先天性の奇形・異常などの被害者が特に子供に多いことが報告されている。


今日世界中で劣化ウラン弾の使用について議論がなされている。現代社会において、エネルギー開発として原子量力発電所でのウラン等の放射性物質の使用は仕方ないものかも知れない。もし、原子力発電所がなくなれば、火力発電に頼らざる得なくなり、二酸化炭素排出量の増加や、発電コストの上昇等の影響が懸念される。 地球温暖化対策の観点、燃料供給や価格の安定性に優れた利点を考えると、原子力は極めて重要な電源であるように思う。と言っても過去の日本で起きた原発事故の例をとっても、リスクは避けられないのが現状である。

今後、原子力発電所のさらなる安全性の確保と信頼性。劣化ウラン弾の人体への影響と実態解明を明らかとし、劣化ウラン弾製造廃止に向けての戦争被害者である特に子供への被害をなくす世界にしなければならない。