ダイオキシン汚染とは


 「ダイオキシン汚染」という言葉をよく聞くが、人間にとって有害であるという知識は誰もが持っていると思う。しかしその詳細を知る人はかなり少なく感じる。

ダイオキシンとは炭素・水素・酸素・塩素の化合物で200種類以上ある。この全てが人間や動植物にとって有害ではなく、この中の一部が有害であると確認されている。ダイオキシンは水に溶けにくく、油に溶けやすい特徴がある。そのため、人間の体内に入ったら脂肪部分に蓄積されやすい。例えば、太って人、やせて人がいたとする。この両者が全く同じ食事を摂取した場合、どちらも同じ量のダイオキシンが体内に入る。しかし、やせている人は太っている人に比べ、脂肪部分が少ないために体内ダイオキシン濃度は高くなる。つまり、やせている人は太っている人よりも汚染危険率が高いと言われている(実際のところ人によって食事の摂取量や環境による違いにより断定はできないと思うのだが?)。


過去のダイオキシン問題に関する事件では、ベトナム戦争の時に不純物としてダイオキシンを含んだ枯葉剤が使われ、多数の奇形児が発生したのは有名である。日本ではカネミ油症事件(1968)で食用油に機械からもれ出したダイオキシンを含むPCBが混入し、2万人近い患者が出た。全身の皮膚異常をきたし、中には全身が黒い赤ちゃんも産まれという報告もあった。


ダイオキシンはどのように発生するか? それは昔使用されてきた農薬などに含まれていたダイオキシンがいまだに土の中や水中に今だ残っているパターンと、また、ごみの焼却によってダイオキシンが発生することが分かってきた。塩素をふくむプラスチックなどが焼却炉の中で化学変化をしてダイオキシンを発生する。そこで、ごみの分別収集を実施したり、焼却場では燃焼温度を上げることでダイオキシンの発生が少なくなるようにしている。そのため、私たちの日頃のゴミ分別は重要な意味がある。しかし、途上国の多くのゴミ集積場では、ゴミの分別がされないまま投棄され、そこで自然にゴミが化学変化を起こし、所々で燃やしてもないのに煙を放つ現象がみうけられる。実はこの煙中に高濃度のダイオキシンが発生している。その危険なところで、途上国の貧困層の多くの人々は、ゴミとなった鉄屑や、壊れたプラスッチック製品など回収し、それらを市場に卸し売りし、生計をたてている。これまでの多くの研究によると、途上国においては一部のお金持ちの上層階級より、大部分を占める貧困層が汚染曝露されている研究報告がある。


重金属、農薬、有機化合物といった多くの汚染物質が存在する中、ダイオキシンはなぜその中でも特に注目されるのか? その大きな理由として、ダイオキシンは極めて微量でも、生物に危険を及ぼす物質とされているからである。ダイオキシン濃度は、ピコグラム(1兆分の1グラム)の単位で表され、これは最新の技術を使ってやっと測定できるぐらいの低濃度である。一度体内に入ると排出されたり分解されにくく、少しずつ体内に蓄積される。

興味深いことに男性、女性とではダイオキシンの蓄積濃度は違ってくる。男性は年数を重ねるにつれ(つまり年を取るごとにつれ)体内蓄積濃度は高くなる。しかし女性は出産することによって、胎盤での胎児への移行により濃度は低くなる。さらに、幼児に母乳を与えるため、前述したようにダイオキシンは水に溶けにくく、油に溶けやすい。母乳の60%は脂質であるため母乳中からダイオキシンが排出されるからである。そこで重要になってくる問題は、母乳による乳幼児への影響である。これまで研究者の間で多くの議論がなされてきたように「母乳は果たして安全か?」といった話になる。日本のようにダイオキシン濃度も厳しく規制された国は、問題なく母乳は安全であると思われる。また、母乳をあたえることは母親と赤ちゃんとの愛情関係といったスキンシップを築くにも非常に大切なことである。

ダイオキシンは、身のまわりのどこにでも存在している。都市部に生活している成人は、1日当たり200ピコグラムのダイオキシンを取っていると言われている。この程度の濃度は問題ないと思われ、その90%以上は野菜や肉・魚という食品の形で体内に入っていく。 このようにどこにでも存在するダイオキシンだが、次回はダイオキシンの人体への汚染を、どのようにして防ぐか。日頃の食生活によって簡単に防ぐやり方をご紹介させていただきます。